数学者 新井紀子さんの著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読みました。現在の AI (人工知能)がどのようなものなのか、わかりやすくまとまっています。現在の AI はコンピューターのプログラムです。プログラムは数学の上に成り立っています。AI で使われる数学は著者によると「論理と確率、統計」ということです。そして現在の AI は意味を理解していないというのです。
たとえば、囲碁 AI が囲碁界を全く変えてしまうほどの影響を及ぼしたにもかかわらず、意味を理解していないと思うと、とても不思議な気持ちになります。
今「プログラミングと数学」についてこの連載を続けているのは、プログラミングは数学に属する分野だとの思いがあったからなのですが、プログラミングや数学には無いが、人間に有るというものが存在していることを改めて感じました。そしてプログラミング教育で本当に必要なのは、人間にしかできない何かを育むことなんだろうと思いました。その中にもちろん新井さんが力説する「読解力」が含まれるのは間違いないでしょう。
「わかる」と「できる」の両方ができることが望ましいですね。コンピューターはいろいろできるが、わかってはいない。一方の人間もある程度しかわかっていないと思います。できるようになる努力とともにわかるようになる努力も重要ということでしょう。
そもそも「わかる」とはどういうことか、科学的にはわかっていないようです。これがわかれば「わかる」コンピューターを作り出せるのかもしれません。
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